7日目 佐多岬から鹿児島空港まで

昨日までで佐多岬を目指す旅は終わった。今日はのんびりと鹿児島空港まで走り、飛行機に乗って羽田へ戻るだけ。今までの旅の余韻に浸りながら、鹿児島の景色を堪能しよう。

朝食食べずに早く出発して薩摩半島を目指すか、のんびりと出発して大隅半島を北上するか。いろいろルートを考えた結果、大隅半島ルートを選択。もう沢山走る気力もないし、薩摩半島は以前に走った事があるから止めておこう。開聞岳にはまた会いに来れば良いし。海から上る朝日を眺めながら起きる。

8時過ぎに出発して、佐多岬に別れを告げる。さらば、また来る・・・時はあるかなあ。海沿いを走ると、左手には海の向こうに薩摩半島灯台のように海にせり出したきれいな円錐が見える。私の好きな山のひとつ、開聞岳だ。螺旋状の登山道はまた歩きたい。若干のアップダウンを繰り返しながら先へと進む。

ちょっとお腹が空いたので、根占のコンビニでパンと牛乳を補給。近所の子供らしき人影が、元気に動き回っていた。それにしても、今日は暑いな。時間には余裕があるので先を急ぐ必要はない。これまでは1日の走行距離が長めだったのと、雨が多かったので観光らしき事はほとんど何もしてこなかったな。荒平天神の鳥居が見えたので、ちょっと寄り道。海辺の小島全体が神社になっていて、その入口に鳥居があるという美しい光景。ロード用のシューズでは歩きにくい、急な階段を登ると小さな祠があった。お参りしたので、先に進もう。ここは廃線跡なのかな。道路の脇には、駅らしき雰囲気が残っていた。

垂水まで来ると、前方に見えていた山が近づいてきた。鹿児島のシンボルとも言うべき桜島だ。近づくにつれて、溶岩と火山灰の山という雰囲気が迫ってくる。さすが、何度も大きな爆発を繰り返してきた山だ。

少しルートを外れて、有村溶岩展望所へ向かう。溶岩道路の名の通り、周りを溶岩で囲まれた道路は熱く感じる。2kmほど進むと展望所に到着した。山の麓に広がる溶岩、山からはごうごうという音が聞こえる。シューズを履き替えて、少しだけ散策。辺り一面溶岩という異様な光景を前に、しばし佇む。来た道を引き返して、霧島市を目指す。

途中、黒神埋没鳥居に寄り道。よく知られているのとは違う場所だ。島からはずいぶんと離れているのに、火山灰で埋まったという。大正の噴火の凄さを感じる。

お腹空いたなあ。という事で垂水の道の駅でランチ。この辺りで養殖されているというカンパチがたくさんのった大漁丼を頂く。美味しくないはずがない。さすがに鮮度が高くて、熟成された旨みはないけど歯ごたえは素晴らしい。こういう新鮮な刺身は旨みを補う甘い醤油が合うね。喉渇いていたので、ドリンクも注文。飲み放題だったので、何杯もおかわりしてしまった(笑)

ここから空港まではすぐ。ただ、霧島の市街地からはずっと上り。のんびりと走っていたら、空港の設備か見えてきた。ついに今回のツーリングは完結。さて、出発まで4時間もある。どうしよう。汗かいたし、温泉に入るか。事前に調べておいた6kmの温泉を目指す。入浴250円は安くていいね。雰囲気は完全に地元民の銭湯。なので、石けんは置いてない。購入してから風呂場へ。汗を流してスッキリしたら、飛行機乗るための普段着に着替える。石けんと濡れたタオル持って羽田へ戻るのか。来た道を引き返したら、自転車を袋に入れてカウンターへ。これで今回のサイクリングは完全に終了。今日の走行距離は138kmくらい。腹が減ったので、黒豚とんかつを食べる。う〜ん、空港内のレストランだったせいか、値段の割にイマイチ・・・

今回の佐多岬自転車旅、果たして楽しかったのだろうか。苦しくて辛い事ばかり思い出される。いや、それら全てが旅の楽しみなのだろう。旅の楽しみの真髄は、その行程の中にある。ゴールにたどり着く事は結果でしかなく、目的ではない。だから、飛行機で移動して観光地だけ巡り、きれいだったね〜、というのには惹かれない。これは私の旅への考え方であり、他の人がどう考えるかは自由だ。

次の旅の事はまだ考えられない。でも、またどこかを走るだろう。自転車に乗り続けている限り、旅に終わりはないのだから。