6日目 高鍋から佐多岬まで

 いよいよ佐多岬を目指す旅も終わりが見えてきた。残り200km弱。朝食を早めにすませて、6時過ぎに出発。空は快晴だ。相変わらず脚は重いし、お尻は痛くて座っているだけで苦痛。でも、なぜだろう。このわくわくする気持ちは。

 トラックの多い国道10号線をひたすら走る。スクーターで通学する高校生をよく見かけるな。ひと山越えたら、しばらく下り。宮崎市内を避け、真っ直ぐに都城を目指す。自転車通学する中学生と何となく目が合ったら会釈されたので、こちらも会釈。何だろ(笑)

 再び国道10号線に合流したら、もう一つ峠を越えて鹿児島県へ。もう、次の県境はない。これまでの行程を振り返ると、ずいぶんと走ってきたなあ、と感傷的になるが、まだ先は長い。走る事に集中しよう。都城の街中を抜け、国道269号線へ。ついに、目的地の佐多岬と書かれた標識が出てきた。いよいよ近づいてきている。道の駅おおすみには、なぜか牛車が置いてあった。細かいアップダウンをこなすと、鹿屋に到着。街中を抜けると、鹿屋航空基地の敷地が見えてきた。

 あとはひたすら海岸線に沿って南下。そろそろ佐多岬までの距離も減ってきて、終わりが近づいていると実感する。目指す岬は見えてきている。今日も気温30度以上と暑い。ちょっと道の駅にしきの里に寄ってデコポンアイスを購入。あれっ、デコポンって宮崎県のような気がするけど、と思って裏を見ると製造は宮崎県だった。なぜ、鹿児島のご当地アイスに?

 そのうち道は海から外れ、アップダウンの繰り返しに。途中、すれ違うモーターサイクルのライダーからサムズアップされるが、返す余裕がなかった。すれ違う速度が速すぎるし(笑)そのうち、再び海が見えるようになったら、残りわずか。だんだんと大隅半島らしい雰囲気になってきた。あと少しと思うと、ペダルを踏む脚にも力が入る。すでに日が傾いてきているが、まだ明るいうちに道路の終点に到着。この先、南には道がない。九州最南端の道路だ。目の前には、写真などで何度も見た事のあるトンネルがある。ここからは徒歩。自転車を降りて靴を履き替える。500mほど歩くと、展望台。やっと着いた。これで佐多岬を目指す1300km近い自転車旅はお終い。

 満足したら、海辺にあるホテルへ移動。10%を超える急な短い坂を越えるとすぐに到着。今日はここに宿泊。部屋から波の音が聞こえる。晩飯食べたら眠くなってきた。海から聞こえる音を子守歌にして就寝。走行距離は197kmくらいかな。

 感動のゴール!とはならないのは、旅が終わった訳ではないからだ。明日も走るし、その先もずっと走り続ける。今までの旅でもそうだった。自転車に乗り続ける限り、旅に終わりはない。好きだから走る。そして、また旅に出るのだろう。