石巻へ

 昨日に引き続き北へ向かって走る2日目。天気予報によると昼過ぎからは雨らしい。出来るだけ早く目的地に着けば、あまり濡れずに済むかも。という訳で、今日は6時過ぎに出発。

 今日の目的地までは180kmほど。あまり濡れたくないので、真面目に走る。それにしても、福島県内に入ってからは浜通りからの避難所が目立つ。この光景は宮城県に入るまでずっと続いた。原発の避難民はこれからどうするのだろう。元の場所へ戻る事は難しそうだし。空はどんより曇り空だが、左手に見える安達太良山が美しい。すぐそばには阿武隈川智恵子抄で読んだ本当の空が青空ではないのが残念。

 さらに進むと、いつの間にか宮城県になり、左手の山は蔵王連峰に変わった。ちょっとしたアップダウンを繰り返すうちに、岩沼。常磐線との合流点。名取から海沿いへ。あの日、テレビで津波にのまれて水没した映像を何度も見た地域の一つだ。今は何もなくなっている。本当に広い荒れ地が広がってるだけ。ここに何があったのか、もはや想像出来ないほどだが、たまに残る廃墟が3年前を物語る。プレハブで営業中のコンビニで休憩。この先も、被害の大きかった街にはプレハブのコンビニをいくつも見かけた。重苦しい雰囲気は、天気のせいだけじゃないだろう。自転車で走るのが楽しくないと感じたのは初めてかも。でも、先に進むしかない。そのために来たのだから。

 しばらく進むと海から離れるためか、普通に家の建つ景色に変わった。塩釜を抜けて松島へ。この付近だけ凄い人出。今日は連休中だったのを、思い出した。以前来た時に観光はすませたので、今回は素通り。そばを走る仙石線の架線がない。まだ復旧していない区間か。その先はまだ工事中。新しい線路を作って内陸側へ移すためらしい。そのためか、古い線路は架線を支える支柱が壊れたままで3年前から時間が止まっている。どこも土地を高くするための大規模な工事が行われているが、まだまだ時間がかかりそうで、土の山が広がるのみ。

 東松島まで来ると、見覚えのあるカラーリングの飛行機が飾ってあった。ブルーインパルスのT2か。この辺りも、津波の被害が大きかった場所だ。というより、この先ずっと津波の被害が大きかった場所ばかり。何百キロも。実際に自分の目と脚で実感すると、ただ無力感しか湧かない。

 ここまで来たら、今日の目的地はすぐ。雨は小雨程度で済みそうだ。石巻駅の近くでサイボーグ009発見。あっ、仮面ライダーもいる。特徴的な石ノ森章太郎の記念館を川の中州に発見。周りの建物は壊れてるので、より目立つ。そう、石巻の市街地は壊れた建物と更地が目立つ。ちょっと寄り道して、あの門脇町へ。小学校の校舎は覆われて見えなくなっていた。そばには、慰霊碑が。建物が何もないので、お墓ばかりが目立つ。ただ冥福を祈るばかり。ここに着いてから、雨が降り始めた。天も泣いているのか。

 今日の走行距離は192kmくらい。少し寄り道し過ぎたか。明日は晴れると良いなあ。